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「そして、お前はここに入り浸りになったんだよな」
ダグがまたウイスキーを口にした。
ノエルと話したのは翌日の放課後だった。
ノエルは怒りも泣きも、責めもせず、冷ややかだった。
「昨日の男の人、アルフレッドさんって名前だって。年寄り中の年寄りだって自分で言ってたけど、そんなことない。昔の知り合いに僕が似てるって。ちょっと変わってるけど、優しくしてくれた。本がいっぱいある。来たら自由に読んでいいって」
ダグが何かを言う前に、ノエルはくるりと背を向けた。
「悪かったよ。また遊ぼうぜ」
追いかけたダグに、ノエルは首を横に振った。
ダグはその肩を小突き、その頭を平手で叩き、胸ぐらを掴んだ。
それまでのノエルなら「わかったよ、ダグ」とうつむき加減で言ったが、その日は違った。涙目でダグを見返した。「ダグといても全然楽しくない。言われた通りにしないと殴るし、昨日みたいに裏切られる。僕はもう、遊びたくない」
ダグは呪いの言葉を吐いて、ノエルの背中を壁に打ち、床に引き倒し、そばのゴミ箱を思いきり蹴飛ばし、今度はダグがノエルに背を向けた。
会うたびに、肩を小突き、一言、嫌味を言った。
卒業式までひと月。
そして、そのまま、別々の中学校へ。
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