骨折

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身体のどこかがポキッと折れる音がした 僕は痛みで崩れ落ちた 痛みで涙も出ない どこが痛いのかもわからない もうダメだ もう立てない 立ち方もわからない 誰かが走ってきた 大丈夫?どうしたの?どこが痛いの? その声はとても優しかった もう僕は立てない ほっといてくれ。 その人は言った もう大丈夫。私に掴まって。 どうやら僕よりも一回り身体の小さな女の子のようだった でも、僕は重いから君が潰れてしまうよ。 彼女はまた言う 大丈夫。私は力持ちなの 彼女は僕をかかえて歩き出す 周りの人は僕らを指さす 彼女はただひたすらに僕を抱えて前に歩き続けた どうして君は僕を助けてくれるんだい? 僕が尋ねると彼女 は優しく微笑んだ どうしてそんなに力持ちなんだ どうしてそんなに強いんだ どうしてそんなに優しいんだ どうしてそんなに切ない顔をするんだ どうして 泣いているんだ 気づくと彼女はいなかった 僕は一人で立っていた 彼女の温もりはまだ残ったまま 遠くの方に泣いている女の子がいる 僕は走り寄った 大丈夫?どこか痛いの? 女の子は泣きながら もうダメなのと言う もう大丈夫。僕に掴まって。 僕は女の子を抱きかかえて歩き出す 女の子は僕にどうしてそんなに優しくしてくれるの?と尋ねた 僕は微笑んだ ふと彼女の顔が浮かんだ ありがとう 僕はもう大丈夫 一人でも立ち上がれる 気づくと泣いていた  
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