スポーツ大会後のフェニックス【トーシン】

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 執務室へ入ると、目に飛び込んできたのは、壁に映る映像だった。  帽子掛けみたいな金属棒の先に取り付けられているクリスタル。映像の保存も出来るらしい。  競技の様子、俺が医務室で回復魔法を掛けているところ、アスターの部屋に行って早々爆睡する俺。って、これ、盗撮だろ。  暗転して、目覚めた俺が土下座して、アスターを――  映像を強制終了させるため、棒からクリスタルをもぎ取って、執務室の石壁に思いっ切り投げつけ、叩き割る。 「息子のメモリーコレクションが!」 「息子になった覚えはありません! 盗撮はいけません!」  いくら身内(アベル)でも、プライバシーの侵害は許さない。 「トーシンのおしめを替えていたのは俺だ。今さらだろう」 「生まれたてのヒヨコだった頃なんて、覚えているわけがないでしょう」  それから七百年以上も経ってるんだ。子供扱いするにしても、その盗撮はやっちゃいけない。 「俺はただ、トーシンが可愛いだけなんだ」 「可愛がるのはご自分についている息子だけになさってください」 「それは、伴侶のボクがしてる」  事の顛末を可笑しそうに笑いながら見ていたレダが言った。 「トーシン、今日は早く上がった方がいいんじゃない? アスターが待ってるでしょ」  最後までしっかり見られてた……!!  逃げるように執務室を出て、寝室へ直行。無言で抱きついた。 「何かあったのか?」 「……知らない方がいい」 「よくわからないが、お疲れ」  気が済むまで撫でて貰って慰められ、恋人に癒してもらう夜になった。  スポーツ大会は、何だかんだ思いつつ、楽しかったんだが、もう二度と参加したくない。 ――了――
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