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まっすぐな 言葉
霧雨の降る18時半。今日も私の隣には後輩がいる。
「車、乗って行きますよね? 」
さも それが当然であるように霧島は聞いてきた。
「ううん。今日は元気だから。自分で帰れる」
「え……」
後輩は立ち止まった。つられて私も止まる。
いつものパーキングエリアの前だった。
「今日、車の中で言おうと思ってたことがあるんですけど、聞いてもらえますか」
「……うん」
頷くと、霧島は小さく息を吐いた。
「先輩から、目が離せないんです」
「うん? 」
「前から先輩のこと好きで。同僚からすげぇバリバリ働く人がいるって聞いてて。
初めて会った時、嬉しかったんです」
霧島は照れ臭そうに視線を外した。
頬に熱が集まる。
「でも、私はあなたの前でカッコいい所を
何も見せられてない。いつも不甲斐ない所ばかりだし。カッコ悪い」
「先輩の、可愛い所なら沢山見てますけどね」
彼はおどけてみせた。
「でも、本当に、自分のコンディションが上手くいかない日でも一生懸命で、やるべきこときっちりやろうとする先輩、かっこいいです」
私は、こういう真っ直ぐな言葉に弱いらしい。久しくそんな心の柔らかい所に触れてくるような優しい言葉を受け取ったこと無かった。
気が付いたら頬を涙が伝っていた。
彼は私を抱きしめた。
そうやって、後頭部を撫でられるのにも
私は弱いらしい。
「もっと先輩の近くにいたい。
先輩の近くにいられたら、先輩のこと
もっと支えられる。……側にいさせてくれませんか」
泣きじゃくる私には頷くことしかできなかった。
後輩は、彼氏になった。
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