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東方村と西方村へ
「東と西?」
「どう言う事だ?八兵衛」
「簡単な事だ。東と西に村を分ける。そうだな・・わし達の方を東方村。誠二郎の方を西方村と名付けよう」
「なるほど」
「そうだな。誠二郎どうだ?」
「わしは・・」
「しっかりせい!わしらの村、西方村の村長になるんだぞ?」
「わしが村長・・・そんな大役わしに出来るだろうか」
「大丈夫だ。こっちの西方村は、東方村と違い己の事だけを考える人間ではない。皆の事を考え協力し合える村だ。みんながお前を全力で支える。なぁ?」
「そうだ。誠二郎頼むぞ」
誠二郎側の村人は、次々と誠二郎にいたわりや激励の言葉を投げかける。
(何だか、西方村の方がまとまりがあるわね)
その後、村が二つに分かれる事についての決まり事を話し合いその場を解散となった。
その決まりとは
1,お互いの村の行き来を禁じる。
2,月一回、村長同士自分の村の現状を報告しあう。
この二つのみ。
「よし、じゃあすぐにやるべ」
一人の村人が立ち上がった時だ。
コケコッコー!
どこかで鶏が鳴いた。
見ると、東の空が白みかけている。夜が明けるのだ。次第に暗闇に包まれていた村に太陽の光がゆっくりと届きだした。
すると不思議な事に太陽の光が当たった場所から徐々に、今まで普通の家だった家が朽ち果てた家に変わっていく。部屋の中にいた村人達の姿も忽然と消えてしまった。
昼間この島に上陸した時に見た村に戻ったのだ。
まるで魔法のように元の姿に戻っていく村を見た私達は、暫くの間呆然と荒れ果てた村の様子を見ていた。
「凄い・・・」
「うん・・」
「これこそ・・・これこそ日本の不思議な裏歴史よ!」
カズが興奮して叫ぶ。乾燥肌なのか、メイクしっぱなしの顔が少し粉が吹いているように見える。スキンケアに人一倍力を入れているカズが、そんな風になった肌をそのままに鼻の穴を膨らませ話を続ける。
「という事は、あの話もやっぱり嘘じゃないって事よね⁈」
「あの話?」
「忘れたの?願いを叶えてくれるって事よ!」
「ああ・・・でもそれって、徳川の埋蔵金みたいに眉唾ものなんじゃないの?前に半年かけて探したけど見つからなかったじゃない」
「え?半年?」
ソレは初耳だった。
ゆかっちは少し困った顔をしながら
「そうなの。徳川の埋蔵金も不確かな情報じゃない?どうしてそんな話が伝わっているのか。果たして本当なのかって言う事は私達のメインの裏歴史に当てはまるって考えたのよ。ね?あの時もカズちゃん結構お金使って色々調べたわよね」
「当り前じゃない。ロマンよロマン」
カズは形の良い鼻から盛大に息を吐いた。
ヘリをチャーター出来るぐらいだ。かなりの資金を掛けて探したことが容易に想像できる。
「でもさ、ちょっとよく考えた方がいいわよ」
「何を?」
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