新しい生き方

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新しい生き方

次の日からの大学生活は私にとって幸せこの上ないものだった。 好きなように化粧をし、好きな服を着る。黒髪短髪の髪は自分の好みの長さになるまでの我慢だ。「ダイアモンド」の二人は、私をこうちゃんと呼ぶようになった。本名が杉本紘一だからこうちゃんだそうだ。ちなみにカズは大和田和仁。ゆかっちは加藤優紀という名前だ。 今まで一緒にいた友達は、私の劇的な変わりように驚き言葉が出ないようだったがずっと我慢していたことが無駄だったように、みんなすんなりと受け入れてくれた。 前よりもよく話しかけてくれるし、一番うれしかったのは男女問わず友達が増えた事だ。もしかしたらおねえというのは人に安心を与えるのかもしれない・・と、今まで考えた事のない前向きな気持ちでものを考えるようになった。 毎日のように「ダイアモンド」に行き、お互いが使っている化粧品の品評会やどこの服が安くて可愛いだの、ランチが美味しいお店を調べたりと女子会のような事をしていた。 そんなある日。 いつものように「ダイアモンド」の部屋でアフロのゆうちゃんと好きなBLの漫画の話をしていた時、金髪カズちゃんが慌てた様子で部屋に入って来た。 「ねぇねえ!ちょっと!これ見て!」 手に持っていた一枚の紙を、興奮した様子で私達の前に置く。 その紙には大きく「たき島の都市伝説」という文字があり、どこかの島の写真とその島についての説明が書かれていた。 「なぁにこれ?たき島?」 ゆかっちが紙を覗き込む。最近パワーアップしたアフロが邪魔で私からは紙の半分も見えない。 「そう。こんな興奮する島なんて聞いた事ないわ!読んでみて!」 「じゃあ私が読むわね」 私はアフロの下にある紙を取ると読み始めた。
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