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全て読み終わった私は、二人の反応を見ながらテーブルに紙を置いた。
頬杖をつき頷きながら聞いていたゆかっちは
「う~ん。これはまさしく私達のメイン。裏歴史にピッタリね」
「そう!そうでしょう!これをネットで見つけた時は興奮しちゃったわよ!だって、死んだ村が夜に生き返るなんてこんな事普通ある?」
カズは両手を薄い胸に当て体を縮める。裏歴史を知る為ではなく、願いを叶えてくれるという事にだけ惹かれていた。
そうだった。「ダイアモンド」のメインの活動は裏歴史を知る事。自分の中の女をさらけ出せることの幸せに浸っていた私はすっかり忘れてしまっていた。
流石「ダイアモンド」のリーダーだけあってカズはちゃんとその活動もしていたのだ。
だが、夜に生き返る村なんて言うのは裏歴史と言うよりオカルトの部類に入るのではないだろうか。そう思った私だったが、飛び上がって喜んでいるカズを見ると水を差すようだったのでその事は言わないでおこうと思った。
「このさ、島の人が探している物を見つけて渡してあげると願いを一つ叶えてくれるというってところにも惹かれるわね」
「そうそう!私の願いは、この「ダイアモンド」を将来歌舞伎町でお店として出したいの」
「その時は副店を私にしてね?」
「そうね。こうちゃんは・・マネージャーかしら?」
「マネージャー?いいじゃない!」
「ね、早速行かない?」
「え?いつ?」
「そうねぇ。本当は明日からでもいいんだけど・・みんな用意とか色々あると思うから・・明後日はどう?」
「ええ⁈明後日?明日とそう変わらないじゃない」
「行ってもいいけど、このたき島って小笠原諸島の近くよ?行くまでの旅費とかの問題もあるわ」
「ああそれなら大丈夫。すべて私が負担するわ」
「え?カズちゃんが?」
私は驚いた。三人が行くとなると飛行機代やら何やらで結構な金額になる。ソレを一人で負担するというのか・・
「じゃ、お願いしま~す!」
ゆかっちは、いつもの事だと言うように遠慮なく言う。
「ちょ、ちょっと待って!一体いくらかかると思ってるの?カズ一人にそんな・・」
「大丈夫なの。飛行機もうちの会社が持ってるの使わせてもらうからタダだし、そうねぇ・・二人が持って来る物と言ったら・・向こうは暑そうだから・・日に焼けるの嫌じゃない?日焼け止め大量と、いつもの化粧品と着替え・・ぐらいかしらね」
(うちの会社?)
今更ながら、カズとゆかっちの私生活を知らない事に気が付いた私はそれとなく聞いてみたが、二人共「秘密♪」と言って教えてくれなかった。
一体二人は何者なんだろう。
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