いざ、たき島へ

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「きゃ~!暑~い!」 「本当!今十月だよね?なのに、ここはまだ夏!」 「水着持ってくれば良かった~」 「今年海行けてないから水着買ってないんだ~」 「え~私買ったよ?」 「本当?一緒に買いに行きたかったなぁ」 「海綺麗!」 「いい男もいるかも・・」 「やだぁ~♪私ビキニ派!」 「ビーサン持ってくれば良かったぁ」 「海に来るのに、ヒールなんて履いて来るからよ。売ってないのかしらね」 「日差しキツイ!日焼け止め塗らなくちゃ」 たき島の隣にある古里島に着いた私達三人は、海を見てはしゃいでいた。ここから、目的のたき島が近くに見える。 「ねぇ、あれがたき島じゃない?」 「本当だ。凄いね、本当にすり鉢みたいな形してるわ」 「カズちゃん。船で行くって言ってたけど、何処で頼むの?」 「え~と、確か漁師をやっている浜野さんって人がいるんだって。その人が船を出してくれるみたいよ?」 「じゃあ、あの人に聞いてみようよ」 私は、海岸で漁に使う大きな網の手入れをしている一人のお爺さんを指さして言った。 「すみませ~ん」 ガヤガヤと騒がしいおねえが自分に近づいてくるのを見た爺さんは、スッと立ち上がるとその場から逃げるようにして離れる。 「あっ!ちょっと待ってください!あの・・あの、浜野さんって人知りませんか?」 慌てた私は大きな声で聞いた。 すると、爺さんはピタリと足を止め顔をこちらに向けると 「わしが浜野だが・・」 とガラガラにしゃがれた声で言った。 「え?浜野さん?ラッキー!」 「良かったね!すぐに見つかってさ」 三人で手を取り合い飛び上がって喜んだ。 そんな三人を浜野は、なるべく見ないようにと視線をずらす。 浜野だと名乗った爺さんは、とうに七十を超えているように見える爺さんだ。ゴマ塩頭にしわだらけの顔。こんがりと焼けた肌。背はそれほど高くはない。今は高齢という事もあり筋肉が痩せているが、それでも腕は太く胸板も厚い。昔はたくましい体格をした漁師だったのだろうと安易に想像できた。 「あの私達、たき島に行きたいんです。浜野さんが船を出してくれるって聞いたものですから・・お願いできますか?」 ゆかっちが、ヒョウ柄のズボンの裾に入った砂を払い落した砂だらけの手を拝むよう合わせながら浜野に行った。その瞬間、今まで目を合わさないようにしていた浜野の表情が一変し険しくなった。白く濁った眼で私達を見ると 「たき島に?」 「ええ」 「その島には行かん方がええ」 浜野は吐き捨てるように言った
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