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そして2台でブ~ンと移動。当然、車の中ではちび組は大はしゃぎ。
アクアマリンふくしまの広い駐車場だが、さすがに混み合っている。それでもそれぞれ車を停めるところを見つけて家族が全員合流だ。
そのままゾロゾロと祭り会場まで移動した。
「わぁ賑やかねぇ」
母ちゃんも家族で出掛けられて嬉しそうだ。ひかりは父ちゃんがしっかり抱っこしているが、人混みを見て興奮しているみたいだ。ちょっとジタバタしている。
「みんなでゆっくり見て行きましょう」
母ちゃんと親父を先頭に、祭り会場になっている広場を歩く。ちび組は沢山並んだ露店に早く行きたくてウズウズだ。
「ちゃんと手を繋ぎなさい!」
母ちゃん、それちび組に言ったんだよね。でも反射的なのか前方の拓海が美音に左手を差し出した。嬉しそうにそれにしっかり両手で掴まる美音だ。
それを見ていた夏那がふっと微笑む。
「夏那?」
「ん、美音が嬉しそう」
確かに。
子供の頃から見慣れた情景ではあるけどな、小さな妹が大好きな拓海にくっ付いて歩く風景。
「こっちでもちゃんと仲良くしてるのが見られて良かった」
「拓海が美音を護らない訳がないさ」
あの時からずっと大事な妹だ。
「でも美音には拓海はただのお兄ちゃんじゃないのよ」
「ああ、知ってる」
伊達にあいつらの兄ちゃんを何年もやってないよ。俺も夏那の前に自分の左手を差し出す。
「あら?」
「ほら夏那、母ちゃんが言ってるから」
夏那はクスッと笑って俺の手を取ってくれた。
「じゃあ行きましょうかお兄ちゃん、弟達を追いかけてね」
「ああ」
立ち止まってニコニコ笑いながらこちらを見ている凪紗と真也、そして拓海達を二人で追い掛けた。
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