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そのまま二人で懐かしい祭りを廻った。
あの頃の小さな俺と夏那の思い出が、会場のそこかしこにあるようで懐かしい。
「夏那、あれ」
「あら」
七色の綿菓子だ。今は珍しくもないが、あの当時は初めて見て夏那が綺麗だと喜んでいた。
それをひとつ買って夏那に持たせた。夏那の笑顔は昔となにも変わらない。
その姿を写真に納めて大事に懐に仕舞った。
「そろそろ戻ってみるか」
集合場所は拓海の友達のあの店だ。
「そうね、みんなお祭りを楽しんだかしら」
「ああ、きっとな」
頷く夏那の手を取って、俺は歩き出した。
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