23人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会の3月は忙しすぎる。その原因は、大半が卒業式だ。
生徒会長の仕事は、もう全て、3年生の先輩から受け継いだため、
卒業式の総務は生徒会長が行うことになる。
ちょうど今も、資料整理や、祝辞の原稿などをしている所だ。
『…ん、どしたのー…?』
後ろからぎゅっと抱きしめられ、頬に軽くキスされた。
犯人は、涼珠だ。
「…別に」
『うそつけよー!なに?教えて?』
そのまま何も言わずに、顔を俺の背中で隠しながら抱きついていた。
『照れちゃってんの、かわいー♡』
「…るせ…」
また仕事に取り掛かろうとした。でも、さえぎられた。
「……させて…」
残念ながら聞こえなかった。「もう1回言って」と、促す。
「だからっ、//」
すると、今度は首に手を回して、耳元でさらに小さく呟いた。
「…甘えさせて、ってば…///」
心臓が大きく揺れ動いて、ドキドキが収まらない。
そっと涼珠の顔を見ると、思った通り恥ずかしさで死んでいた。
『…へぇ…』
いつもの楓季と反応が違う。
いつもなら、絶対に♡をつけて言ってくるのに。
まるで、怒っているような…そういえば、今の時期はとても忙しいことに気づいた。
「まって…い、忙しいのは分かってる、から…その…っ!!」
楓季は黙って俺を押し倒した。そして、思いっきりキスをされた。
「っ、んっ///う、あ//、、かっえで…////」
『はぁ…』
うつむきながらため息をつかれると、だんだん怖くなってくる。でも、キスされた余韻で、気持ちよくなってしまう。
「ご、ごめん…もぅ…あんなこと、言わないからっ…仕事、してたの分かってたから、…だから、許して…///」
『許すか、ばか。』
すると、今度は首筋を舐めだした。舐めるというより、口でかぷっと咥えて、舌を使ってくすぐっているみたい。
じゅるっと音がなるたびに、身体がビクッと動いてしまう。
「ねぇっ…お、怒ってんのか…??/////」
『別に…』
「じゃぁ、なんで…こんなこと…」
楓季は、耳元で呟いた。
『…甘えたいって言うから、甘やかしてんだよ』
「で、も…いつもの、お前、らしくねぇ…よ…っ」
すると…やっと微笑んでくれた。
『いつもの、俺が好きなの?』
意地悪で、悪魔みたいで、だけど優しそうな、そんな顔。
「そ、そういう訳じゃ////」
『…でも、さっきみたいな俺に、甘えたくなかったでしょ。』
俺の頭を撫でている楓季が、さっきの奴とは思えないくらい。
「おう…じゃ、じゃぁ、さっきの、なんだったんだよ!」
『ん?あれー?』
また、キスした。
『…あんなにかわいいこと言われたから…イジワルただけ…♡』
ほんっと、嫌な奴だ。
「は、はぁ!?///ば、ばかっ、/////急に、あんなこと…されたら…」
『…嫌われたかと思った…?』
「うん…」
涙が出てくる。安心しきったせいかもしれない。
『俺が…こんなに毎日、好き好き言ってんのに?』
「そ、それは、俺だって、楓季に毎日……」
『ん?なぁに??♡』
絶対コイツ、俺に言わせようとしてる。タチの悪いやつだ。
「そんな、簡単に言わねぇからな////」
すると、楓季は笑いだした。
『あははっ…言わせようとしないからぁ…ったく、』
「っ、ほんとかよ//」
『ほんとほんと…でも、これからもずっ…とさ、』
本日、3回目のキス。俺、まだほっぺに1回しかしていない。
『俺のこと、大好きって、愛してるって思っといてね…』
なんだか、意地悪なのか優しいのか、分からなくなってきた。
でも俺は、そんな楓季が好き。
「…あほ。ちゃんと言えるし、それくらい…//」
『いや、言わなくていい。』
キッパリと断られた。
「は?なんでだよ」
『わかるだろ。涼珠が、俺の真似してそういうこと軽く言ったら、可愛すぎて歯止めきかないんだよ、ってことで、』
楓季は仕事の続きをした、俺は、ひとつ気づいた。
「お前、本当は甘やかすの苦手だな?」
言った瞬間、少しだけ、楓季の耳が赤くなった気がした。
最初のコメントを投稿しよう!