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「最初にその話を聞いた時は
なんだか寂しくて嫌だった。
でもちょっと考えて、
お姉さんが選んだ人なら
きっと良い人で、
私とも仲良くしてくれるかも
って思ったんだ」
お姉さんの話をする彼女は
どこか嬉しそうだった。
僕にはその言葉がとても優しく感じ、
じんわりと心に染み込むのを感じた。
彼女はぽん、と膝を叩いて
満面の笑みで立ち上がった。
見上げた僕の網膜に、
しっかりとその細くも大きい姿が
焼き付けられた。
僕もそれと競うように立ち上がった。
「かくれんぼしようよ」
彼女は言い、
帯についた鈴を手に取った。
「この鈴ね、
おまじないがかかってるんだ」
彼女は変わらぬ笑顔でそう言った。
「この鈴を渡した人とは、
きっとどこかでまた会えるんだって」
少女はその鈴の紐をつまみ、
りん、と綺麗な音を鳴らした。
「私のこと見つけられたらこれ、
あなたにあげる」
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