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 外に降る 一時的であろう激しい雨を眺め、 過去に想いを馳せていると ふと昔の写真が家にあるのを思い出した。  再びキッチンへと戻り 雑巾を湿らせた。  水に打たれた ステンレス製の流し台が 大袈裟な音を立てる。  その音が外の雨の音に 妙によく似合った。  僕は雑巾を持ち、 押し入れを開けて 目に見える大きい埃を ざっと拭き取り、 キッチンに戻って流すのを 何度か繰り返した。  そして 細々とした場所を拭きながら 昔の写真が入っている箱を探した。  使わなくなった教科書や 体育館のシューズ、 暖房器具や 昔友人とやったカードゲームなど、 その押し入れには 所狭しと記憶が無理やり詰め込まれていた。
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