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久々の再開
「あれ、三谷?」
久々に帰省した地元のスーパー。
買い出しに来ていた三谷が声に振り向くと、買い物かごを持った同年代くらいの男がいた。
三谷の顔を見て確信したのか笑顔で近づいて来る。
「小学校ぶりじゃん!」
こちらを知っている様子の相手の顔をまじまじと見て、三谷は頭に過った名前を口に出した。
「……高橋?」
「そうだよ!全然こっちに帰って来なくってさぁ。元気にしてたか?」
「あぁ。お前も元気そうだな。今何やってるんだ?」
そこからはお互い近況を言い合い、昔話に花を咲かせた。
暫くするとタイムセールを知らせるアナウンスが店内に響く。
「おっと、嫁さんに頼まれてたものがあるんだ。じゃあな、三谷!また同窓会やるから、たまにはお前も来いよ!」
それだけ言うと、高橋は主婦達が集まっている一角に消えていく。
それを見送り三谷も買い物を続けた。頼まれていた醤油を手に取りぽつりと呟いた。
「……結局アイツ誰だっけ」
あれだけ話したのに、三谷は高橋の事を思い出せていなかった。話している内に分かるかと思ったがさっぱりだ。
「帰ったら、卒業アルバム見てみるか……」
それでも分からなかったらという一抹の不安がよぎる。
なにせ三谷の通った小学校は三谷以外、全員高橋だったのだ。
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