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第五話★
持て余しそうなほどの昂りを訴えてくる俺の中心を嘲笑うかのように彼の頬や耳が掠めていく。
「くっ……ふっ……」
与えられる刺激のもどかしさに腰が震え、爪先にぎゅうっと力を込めた。
もう片方のベルトも外し、熱い唇を押しつけながら片手をシャツの中へと滑り込ませてくる。今度は逆の、圧迫感から解放されたばかりの腿を彼の舌が撫ではじめた。
まだ続くのか……緩慢で、だけど下肢が痺れて堪らなくなるあの感覚が。
彼にそんな気はないと思うが、こんな風に翻弄されるのは俺らしくない。
愉悦を逃がすように息を吐き、苦しそうにジーンズを押し上げている彼のそこを足の甲で撫でつけた。
「うぁっ……!」
不意に訪れた刺激に思わず彼は腰を引く。
「誠司君……」
見開かれた彼の目を覗き込みながら彼のジーンズを下着ごとすり下げると完全に勃ち上がった彼の性器が待ちかねたように飛び出した。
「アイさ……くっ」
ぐっしょりと濡れる先端を掌で撫でると、驚きは切ない声音に変わる。
「すごいね」
ベッドに立膝をついた彼の屹立した雄が俺の鼻先でぴくりと揺れた。
その気で相手を探していたわけだから軽く準備はしてあるが、彼の大きさと長さに少しの不安を覚えつつも身体の奥の窄まりにはずくりとした疼きが蓄積した。
それにしてもこんなになるまでよくまぁ我慢できたものだと妙な感心をしてしまう。
「ちょ、ちょっと待って下さい……!」
今さら何を待てと言うのか。待つと辛いのは君の方じゃないのか。
「じっとして」
血管の浮く幹を少し強めに握ってやると俺の肩を押す彼の手は力を失った。
裏筋をゆっくり舐め上げると彼の両腿がびくりと跳ねた。
透明な液体が溢れる割れ目を舌先で舐めとっても、またすぐに小さな球が浮かび上がってくる。
「う……はぁ……っ」
耳に届く悩ましげな吐息に、咥内に彼を閉じ込めたまま視線を上げた。
堪えるように眉を顰めて険しい表情を浮かべる彼に満足感が込み上げる。
亀頭を頬の粘膜に擦りつけながら深く咥えこむとさらに膨らみ咥内を圧迫する。
鈴口から溢れる先走りと唾液が咥内で混ざり合い、頭を上下に動かす度にじゅるじゅると卑猥な水音が立った。
手は張りつめた彼の根元を扱き、唇の縁で刺激を与えながら吸い上げていく。
「は……くっ……あ、……待っ……!」
切羽詰まった声でを自身を俺の咥内から引き抜いた瞬間、彼の生温かい白濁が俺の顔に迸った。
「は……あ、す、すいません!」
解放感の余韻に濡れた目を宙に彷徨わせていた彼は、荒い呼吸の落ち着きと共に我に返ったようで慌てて正座をして頭を下げた。
「ん……大丈夫」
まさか顔にかけられるとは思わなかった。あまりの早さに驚きはしたが、僅かな征服欲と俺で気持ちよくなってくれた事に嬉しさを感じた。
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