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「ナニコレ? あ、まさかこれって」
犯人のうっかりミスで証拠が運悪く見つかってしまうというのはこれもまたよくある話。整理整頓、片付けはちゃんとしなきゃだめだろうがよ。後で回収しようと思っていた決定的証拠もたまたま通りかかった登場人物が見つけてしまう。
拾ってまじまじと見つめている女に犯人が忍び寄る、前に、俺が忍び寄る。
ガシッ!! っと女の肩をつかめば女はビクッと体を震わせた。慌てて振り返る。
「部屋帰って寝ろ」
「あ、でも私ね」
女が何かを言う前に手に持っていた物を叩き落として思いっきり踏みつけて壊した。いきなり壊されると思っていなかったんだろう、その様子を呆然と見ている。
「何も見えなかった。復唱しろ、何も見なかった」
「え、あ、えっと」
「復唱しろ、何も見なかった」
「な、何も見なかった」
「お前は何も見なかった。部屋帰って寝ろ」
その後三番目に殺されるはずのこの女は殺されずに生き残っていた。やれやれ、死亡フラグを回避したかと安心していたら、四番目に殺された。
死ぬ順番変えやがったか、ちくしょう。これはある意味うまい修正だ。ただし犯人がうっかり証拠残しちゃったのは二回発生することになり、事件解決をする探偵に、計画が甘すぎるとダメ出しをされる羽目にあった。
犯人かわいそう、なんかごめん。
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