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「車があった、これで脱出できる」
クローズドサークルの殺人事件が起きてる舞台だと車全部破壊されるか爆発されるか。こういう風に中途半端に車が残っているのは化け物が出てくるパニック系だ。
なんで不自然にガソリンが入った車が一台だけこんなところにあるかって言ったら、それはもちろん、この車に化け物が一匹乗ってるからだ。
俺が車の後部シートの足元を照らすと思いっきり縮こまって隠れているゾンビがいた。ゾンビと目が合う。
「あ、どうも」
「何してんのそんなとこで」
「いや、車で逃げる奴が居るかなぁと思って隠れてました」
「降りろ」
「えー」
不満そうにしながらもゾンビは大人しく降りてくる。見つかってしまったのでばつが悪そうだ。ゾンビを見た人たちはパニックとなり男の一人が車を運転して急発進した。
それを見送っていると突如車が大爆発した。
「あー爆発しちゃいましたね、乗ってなくてよかった」
ゾンビがそんなこと言ってくる。ゾンビと爆発、二段構えに修正された。
「やりすぎだろ、とんだけ殺意高いんだよこの物語」
ぼう然とつぶやくとゾンビがうんうんと頷いてくれる。
「やばいっすよね」
ゾンビの話なのか、サイコパスが犯人のサスペンスなのか、軸がぶれちゃってるじゃん。俺は大きなため息をついて物語を後にした。
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