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「まあ~、そんなにひどいなら、薬が必要だって、もっとちゃんと教えてくれればいいのに! 今、持ってくるから!」  女は、いったん瞳の部屋を出ると、すぐに薬と水を持って戻ってきた。  瞳は、素直に薬を飲んだ。生理痛はあるので、薬を飲めるのはありがたかった。 「じゃ、急いで身支度して、キッチンに来て。朝ご飯、用意するから」 「なんでこんなに、早いんですか?」  瞳は、抑揚のない声で尋ねた。 「まだ五時じゃないですか」 「そうなのよ!」  女は、腰に両手を当てて、うんざりしたように、一つに結った髪を左右に振った。
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