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 朝食を済ませ、玄関先で瞳がそわそわしていると、女が顔を出した。 「ちょっと」  瞳は、明るい表情で振り向いた。もうすぐ両親に会えると思うと、嬉しくてならなかった。 「はい」 「あんたさ、自分の荷物が何もないからって、なにやってんの?」  意味が分からず、瞳がきょとんとすると、女は 「帰り支度を手伝おうとか、全然、思わないんだ・・・」 と、苦々し気につぶやいた。
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