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 午前六時。  母親が船を降り、こちらに向かって駆けてくるのを見ると、瞳は、自分も全速力で走り出した。  抱擁すると、瞳は、大声で泣いた。その間、母親は、ずっと瞳の肩を抱き、頭を撫でていた。母親の後ろから父親が重なる。父親は、ずっと娘の背中に手を当てていた。  瞳は、長くは泣かなかった。母親に、助けてほしいことがあったからだ。  父親から少し距離を置くと、瞳は、母親に耳打ちで、昨夜から生理になってしまった旨を告げた。  母親は、すぐに肯き 「大丈夫。ママが持っているのがあるから、それを使えばいいわ」 と小声で瞳に囁くと、父親のほうへ顔を向け、 「ねえ、パパ。瞳に着替えをさせたいから、私たち、ちょっと船の中に行っているわね」 と、生理のことは話題に出さずに、うまくことを運んだ。
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