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 瞳は、喉から心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらい驚いた。驚愕のあまり、ベッドに腰かけたままの姿勢で固まってしまった。 「あら」  扉から顔を見せたのは、年配の婦人だった。  小柄で全体的に丸々としている。低い位置で一つに結ばれた緩いパーマの長い髪は、染めていないのか、だいぶ白髪が混じっていた。着ている服は、黒の格子柄があしらわれた、クリーム色のワンピースだ。  部屋に入ってきた相手を見て、瞳は、半分警戒し、半分ほっとした。根拠はないが、相手が女性なら、なんとなく危害を加えられる可能性は低そうな気がする。  とはいえ、相手の正体は不明だ。油断はできない。
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