星野美琴の黒い顔

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 大して賢くもない大学に入学、一人暮らしまでさせてもらった。ニューライフに胸を弾ませながら、とりあえず少しでも自分の金は自分で稼がねば、と思い立ち、住んでいるアパート近くのファミレスにバイトを応募した。  バイトは初めての経験だった。よくわからないこだわりだが、初めて経験するのはファミレスか居酒屋がいい、と頑なに思っていた。家の近くにファミレスがあったのは幸いだ。  出勤初日、店長に適当に紹介されホールへ放り出された。時刻は昼の三時。けれど二十四時間営業のファミレスはすでに稼働されている。何人かはホールで働いていた。 「えーと大山くん! 一年だよね? 俺もなんだ、よろしくー」  ぽん、と肩に手を置かれて話しかけられた。振り返ると、茶髪の明るそうな青年が笑っていった。人懐こい笑顔にほっと胸を撫で下ろす。 「あ、よろしくお願いします」 「固くならなくていいから! 俺は野久保。みんなノックって呼んでるから! よろしくー」 「よ、よろしく」 「とりあえずー、メニューと席から覚えなきゃかなあ〜」
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