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ノックという青年は優しく指導し始めたので安心した。しかも同い年となれば話しやすい。僕は素直に彼の案内に従った。
メニューを一通り説明され、次に中をサラリと案内された。席の番号なども彼は丁寧に説明してくれる。店内はまばらに客が座っていた。まだ忙しい時間帯ではないらしい。これからここでバイト生活が始まるのかあ、なんて心を弾ませながらノックの説明を聞き穏やかな店内を見回している時だ。
「お待たせしました。チョコレートパフェです」
そう高い声が響く。落ち着きがあって、穏やかな声色だ。なんとなくそっちに視線を向けると、客にデザートを提供している女性の姿が目に入った。黒髪のロングヘアを纏め、着ている制服の袖から伸びる腕は細く白い肌をしていた。
「 ! 」
一瞬で自分は固まった。全身硬直したように動かず脳の命令を聞かない。
「ご注文は以上でよろしいですか?」
爽やかにそういう彼女の顔から目が離せない。
その人の顔は真っ黒だった。日焼けしてるとかそういうことじゃなくて、黒い影がその顔をすっぽり覆っているのだ。目も鼻も口もわからない。ただ黒く塗りつぶされた顔が細い体についている。
(なん、だ……あれ!!)
驚愕で瞬きも忘れて彼女を見つめた。あんなもの、今まで見たことがない!
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