化け傘の夕べ

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 やっぱり駄目なのかい。何、嘘をつくな、だって。 ははあ、あんた、サトリだな。心が読めるから、あっしの考えていることなんて最初からお見通しってわけかい。正体がばれるわけだ。 それにしてもサトリってのは、もっと山奥に住んでて街には出てこないもんだと思っていたんだが、最近は違うのかね。はっ、妖怪警察のお給金がいい、だって?  わかったわかった、降参するよ。ひどい目には遭いたくないからね。 あっしが本当は買われて数日で捨てられた傘で、付喪神だってことは認める。 だけどさ、だからこそもっと傘として活躍したいってのは、わかってくれないかい?  やっぱりばれるよねえ。わかったよ。誰でもいいから人間に手に取ってもらったら、そいつに取り憑いて呪ってやろうとしてたことも認めるってば。その物騒なもん下ろしておくれよ。  あっしを連行するんだね。こんなひどい雨だ、有能なサトリさんや、あんたあっしを差して行ったらどうだい。そんな手錠みたいなもの引っかけて引っ張るんじゃないよ。あっしにも少しくらい仕事をさせておくれ。いらないのかい。 手に取ってもらって最後の悪あがきの攻撃をする作戦も失敗と。まあばれてるか。 ねえあんた、びしょ濡れになっちゃってるじゃないか。何、お給金で「どらいやー」を買ったから平気だって? はっ、せいぜいその「どらいやー」が付喪神にならないように気をつけるんだね。 
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加