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第13話 アレの阻止を始めた続き
お話は第1話の続きとなる。
沖縄の基地を発進したF2戦隊は3機で計12発の80式空対艦誘導弾を
グローバルホークとのデータリンクで設定された目標に発射後、ただちに
帰投した。
その数分後。
空母エンタープライズのアイランドと呼ばれる艦橋のデッキで
ドリス・ミラー水兵は星空を眺めていた。
その日は日中から雲一つなく、夜になっても美しい星々が空一面に
散りばめられていた。
ふと、ミラー水兵は何本もの流れ星がこちらに飛んでくる事に気づいた。
そのうち、自分の艦(空母)めがけて2つの流れ星が迫ってくるのが
見えた。
その流れ星は少し手前で角度を変えて猛烈なスピードで飛行甲板の中央
付近と後部にほぼ同時に落ちてきた。
この時の速度は音速の1.5倍ほどであった。
流れ星は飛行甲板を突き抜け、格納庫の床を抜いて船体の喫水線のやや下
あたりまで到達した時点で炸裂した。
艦全体に衝撃が走りミラー水兵は飛び上がった。
喫水線よりやや下で炸裂した衝撃は侵入部が小さな穴であったため
密閉度が高く爆圧で中心から艦の側面まで変形させた。
やがて大量ではないが船底や側面のあちらこちらから浸水が始まった。
軍艦は外部からの攻撃に備えて艦内を多くの区画で区切り、浸水時に
それらを閉鎖することで水の侵入を防ぐ構造になっている。
しかし、この攻撃では内部から外側に破壊が広がったため、水密構造
が機能せず浸水を止める術がなかった。
艦内は大騒ぎとなり、排水作業が開始されたが、後部で炸裂した誘導弾
により、やがて発電機が停止し、排水ポンプが使えなくなった。
1000m離れたところにいた大型空母エセックスが同じ攻撃を受け、
こちらは航空燃料に引火して艦内が大火災を起こしていた。
浸水はエンタープライズと同じ状況だが火災の為、排水作業はほとんど
行えなかった。
これ以外に小型空母3隻、駆逐艦5隻が同様の攻撃を受けたが、
それらは30分以内に全て沈没してしまった。
大型空母用にスーパーコンピューター「富岳」により計算された
攻撃パターン「101」及び「102」では沈没まで8時間以内という
シミュレーション結果が出ていた。
火災を起こした空母エセックスは誘導弾命中後、約6時間で沈没。
エンタープライズは人力による懸命の排水作業が続けられていたが
7時間を経過した時点で総員退艦が命令され、その30分後、後部から
その巨体をゆっくり海中に没し、富岳の計算通りの結果となった。
硫黄島で米海軍が体験したものと同じ深夜の謎の攻撃を受けた米第五艦隊
前衛部隊では1回の攻撃で
大型空母2、カサブランカ級小型空母3、ピケット駆逐艦5
という大損害を被り米海軍大将スプルーアンスを驚かせた。
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