第3話 未来からの使者

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第3話 未来からの使者

岩橋3尉は伊藤少尉に自分が未来の軍隊に相当する自衛隊の隊員で 職務は航空従事者(パイロット)である事を伊藤少尉に説明した。 伊藤「俺も航空従事者だ。戦闘機の搭乗員をしている。」 伊藤「俺は2式単戦乗りなんだが、ここには 3式戦への機種改変訓練で来た」 岩橋「3式戦ってあそこに並んだ機のことですか?」 そう言って岩橋3尉は向こうの方にある飛行機群を指さした。 伊藤「そうだ」 岐阜基地の近くには「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」があり、 そこには川崎重工によってリストアされた 「陸軍3式戦闘機 飛燕」 が展示されており岩橋3尉は近所と言う事もあって休日に 観覧した事があったので並んでいる機体が3式戦闘機であることは 直ぐに分かった。 伊藤「しかし・・こんな話をしてもいいのか・・まあ未来人だし いいか」 伊藤「3式戦の製造が遅れ気味で機種改変が微妙な感じになっていてな」 伊藤「もしかしたら今回の機種改変は中止かも知れん」 伊藤「噂では中島で新型重戦の開発が始まっているらしい」 伊藤「自分じゃー決められんが俺もそっちに変わるかもな」 岩橋3尉は戦争の結果について、わざと語らなかった。 伊藤少尉もそれについて質問してこなかった。 本当は結果を知っているはずの岩橋3尉に聞きたくてしょうがなかった はずである。 しかし、岩橋3尉が航空従事者をしていると聞いて少なくとも我が国が 滅んでしまったわけではないことが分かり少しホっとしていた。 伊藤「なあ君は米国をどう思う?」 岩橋「さあ、私の時代では軍事的に同盟関係になっているので」 岩橋「共同で軍事演習も時々するし」 岩橋「味方・・・かな」 伊藤「俺の知り合いに昭和14年まで米国にいた者がいて」 伊藤「米国にいた時、 白雪姫 と言うトーキーを見たらしいんだが」 伊藤「天然色だったと言っていた」 伊藤「さっき、君が見せてくれた写真のように・・」 伊藤「そんな事ができる国と俺たちは戦っているんだ」 伊藤「俺は戦をする相手を間違えている気がしている」 岩橋3尉はこの人はおもしろい観点から相手国をみているんだな と思った。 伊藤「ところで折角この時代に来たんだし、うちの司令官に会っていくか?」 岩橋「そうですね。 ところで私が未来から通って来た穴が近くにあるんですが」 岩橋「今ならまだ日の出前なので分かるかも」 そう言って岩橋3尉は自分が出て来たトンネル付近に走って行った。 案の定、トンネルの向こうはまだ薄暗い感じだった。 明るくなると場所が分からなくなるので岩橋3尉はトンネルの両端に手ごろな大きさの石を置いた。 伊藤少尉の元に歩いて戻った岩橋3尉は 岩橋「これでいい。さて伊藤少尉 まいりましょうか」 こうして未来からの使者は基地司令官のもとへと赴いた。 これがこの後のお話しの出発点となる。
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