第4話 何が出来るか

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第4話 何が出来るか

岩橋3尉と伊藤少尉の出会いの後・・・両日本では それぞれの政府要人 防衛省と大本営の関係者同士 などで何度も話し合いの場がもたれた。 当然、戦中日本からは現代日本に対して技術面を中心に 全面的な戦争協力が求められた。 だが、現代日本の力をもってしても米国を中心とした敵戦力の 強大さに長期間立ち向かう事は困難であり、また戦後の 国際バランスを考えると「勝つ」ではなく「うまく負ける」 事が最善であろうという結論にやがて達した。 大戦の勝利を信じて疑わない大本営の参謀達を説得するには 苦労したが様々な資料を提供した結果、現実を知った彼らもさすがに 戦争の継続がもたらす多くの悲劇を理解したようであった。 2か月にも及ぶ話し合いの末、今後の方針と現代日本から提供 できるものとして以下の事が決定された。 1.特攻作戦を行わない それに見合う戦果が得られる戦力を現代日本が提供する 2.可能な限り空襲を防ぐ(防空を内地における最重要課題とする) 特に原爆投下は何としても阻止する 3.南方とのシーレーン防衛を徹底する そのために必要な機器、武器を現代日本が提供する 4.昭和20年7月中に戦争を終了させる これは米国の原爆開発を考えるとぎりぎりの日程である 5.技術協力の為、可能な限り現代日本より人材を提供する なお、これらの事柄は 戦時中日本では大本営と陸海軍の上部組織の者 現代日本では防衛省及び内閣府の一部関係者 だけが知る事柄であり、両時代の国民は全く知ることはなかった。 現代日本ではこれらの予算は内閣官房報償費よりねん出される事になり 国会で審議されることは無かった。 特攻作戦の代案として現代日本より以下の提供が決定した。 航空自衛隊より ・F2戦闘機3機 ・退役したF1戦闘機5機(廃棄前の機体をリストア) ・80式空対艦誘導弾を計200発(現存するものと一部はリストア) ・無人偵察機グローバルホーク2機と運用システム 以上の装備維持及びオペレーションに必要な人材として自衛官及び 技官合わせて約300名が赴任される事になった。 また航空機の整備は現代日本でしか行えないので一定飛行時間ごとに 現代日本に帰国?して整備する事になった。 F1戦闘機や80式空対艦誘導弾など廃棄又は廃棄寸前のものが 選ばれているのは予算の都合と現代日本でそれが無くなっても 不審に思われないからで、過去への戦争協力を秘匿したい政府方針 によるものである。 また、そのような兵器でも当時の戦闘であれば十分通用するから でもある。 そして、目標は主に米艦艇であり日本にやって来る艦の種類も 分かっているので80式空対艦誘導弾の攻撃パターンは 艦種ごとに計算された。 この計算にはスーパーコンピューター「富岳」が使用されること になった。 最初に岩橋3尉が通ってきたトンネルの調査も徹底的に行われた。 この調査で分かった事がある。それは ・トンネルの大きさは一定ではなく常に変化している事。 ・どうも大きさの変化は月を中心とした重力の影響である事。 ・変化は縮小する方向に収束している事。 ・そのためハッキリしないが3年以内に使用不可能となる事。 である。 更に不思議なのは常に同じ場所につながっている事である。 このトンネルがつなぐ世界は時間軸が異なっている。 地球は自転しているし太陽の周りを公転しているわけで 時間が少しでも違えば宇宙における絶対座標とも言える位置は 異なる。時間軸が異なるのに同じ位置につながる理由は調査しても 分からなかった。
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