逆夕立

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逆夕立

 それは不思議な音だった。ばらぱばららら、と薪が張り裂けるような、スペースキーをアトランダムに連打しているような、聞いたこともない音だった。  夜勤明けで床についていた僕は、天井から聞こえてくる、その何とも言えない音で目を覚ました。ここはアパート二階の角部屋で、屋根の向こうには空がある。  身体を起こして布団のうえで耳を澄ましているうちに、音はだんだん弱くなり、やがて何も聞こえなくなった。時間にして約3分か。しかし寝起きはいつも時間感覚がバグるので、これはあてにならない。  夕立ちか。  にしては奇妙だった。雨だったら、もっとリズミカルな音がするものだ。ばたばたばたばたぱらぱら、とまあ、こんな具合だ。  だがこの音は聞き馴染みがない。不規則で、しかも大きくなったり小さくなったりしていた。
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