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あれから3か月。
仕事は結婚を理由に無事退社。
残っていた有休を引っ越し準備に当てることで、最短で帰れるようになった。
「じゃあ、よろしくお願いします」
引っ越し業者のトラックに荷物が全部詰め込まれ、出発するのを見送った後駅に向かった。
圭太にもお母さんにも、今から帰るよとメールをして電車に乗り込む。
この電車で帰るのも、もうこれで最後だと思うと感慨深い。
2時間以上揺られて辿り着いた、見慣れた景色。
でも何だか今日は、違う景色のようにも見える。
「瑞希!」
改札を通ってすぐに聞こえた声の元に、無言で駆け寄った。
抱きしめてくれる腕が、3か月前よりもちょっと逞しくなっているような気がする。
「…ただいま」
「おかえり」
これからはずっと、圭太の所が私の帰る場所なんだ。
そう考えたら幸せで、それが1番しっくりくる自分の居場所だと思えた。
「ねえ…誰かに見られちゃうよ?」
「瑞希は俺のって見せつけとけばいい」
「…バカ」
恥ずかしいのに嬉しくて…人目も気にせずしばらく抱きしめ合っていた。
===END===
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