9話

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あれから3か月。 仕事は結婚を理由に無事退社。 残っていた有休を引っ越し準備に当てることで、最短で帰れるようになった。 「じゃあ、よろしくお願いします」 引っ越し業者のトラックに荷物が全部詰め込まれ、出発するのを見送った後駅に向かった。 圭太にもお母さんにも、今から帰るよとメールをして電車に乗り込む。 この電車で帰るのも、もうこれで最後だと思うと感慨深い。 2時間以上揺られて辿り着いた、見慣れた景色。 でも何だか今日は、違う景色のようにも見える。 「瑞希!」 改札を通ってすぐに聞こえた声の元に、無言で駆け寄った。 抱きしめてくれる腕が、3か月前よりもちょっと逞しくなっているような気がする。 「…ただいま」 「おかえり」 これからはずっと、圭太の所が私の帰る場所なんだ。 そう考えたら幸せで、それが1番しっくりくる自分の居場所だと思えた。 「ねえ…誰かに見られちゃうよ?」 「瑞希は俺のって見せつけとけばいい」 「…バカ」 恥ずかしいのに嬉しくて…人目も気にせずしばらく抱きしめ合っていた。 ===END===
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