8人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
雨、空、つなぐ
その女の子は噂通り、夏の夕立とともに現れた。
「……本当に待つの?」
「当たり前だろ。ちょうど夕方にゲリラ豪雨の予報だったし、条件ぴったりじゃん」
「場所はここでいいんだよな?」
「商店街を抜けて第一中に向かう途中の交差点ったらここしかないんだから、間違いないって」
僕の隣で二人のクラスメートがお互いを押したりつついたりしてる。
怖がってるような、わくわくしてるような、変な感じだ。
当然だ。だってもしかしたら、幽霊に会っちゃうかもしれないんだから。
僕も緊張して、制服のシャツの袖を掴んだ。
「なあ、渡井は幽霊って信じる?」
「え?」
慌てて袖から手を離した。大きすぎる半袖の口からどんよりした空気が入ってくる。
「……今日、見れたら信じる、かな」
「見れたら信じるのは当然だろ」
「バカっぽい答えだなー」
僕は少しムッとしてそっぽを向いた。
最初のコメントを投稿しよう!