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……僕はそう思わないけど。でも「女の子とばかり遊んでないで」と大人に言われるのも、やだ。
「……熱いな」
「しかも空気湿っぽいし」
「これ、来るんじゃないか?」
三人でなんとなく空を見上げると、灰色の雲がいっぱいに広がっていた。
「雨が――」
僕がそう言った途端、空がゴロゴロと鳴った。
そして大きな雨粒が降ってくる。
「げっ!」
「待てよ、早いって!」
僕たちは慌てて傘を開こうとした。
でも雨が急すぎてパニックになって、手が思うように動かない。手は濡れるしシャツもズボンも髪も濡れるし、両手で傘を開こうとしたらカバンも地面に落ちて濡れるし、カバンを拾おうとしゃがむと雨が首の後ろから直接シャツの中に入ってきて気持ち悪いし、靴の中にまで水が入ってくる。
「ああ、もう!」
バシャバシャと、濡れた地面を蹴る音がする。
「渡井も、こっち!」
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