遠距離恋愛の行方

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 八月中旬。お盆休み初日の朝。新幹線の乗車率は180%を超え、指定席を取れなかった春子は自由席の通路に立った。  荷物を詰めたボストンバッグを足元に置き、何度も体重をかけるほうの足を入れ替えては到着を待つ。大学卒業後、しばらくぶりに和彦に会えると思うと立ちっぱなしも我慢することができた。  二時間後。到着したホームは人の波でごった返していた。午後の早い便で来る予定だったが、一本遅らせたせいで午後四時を回っていた。最初の予定では三時ごろには着くことになっていただけに、きっと和彦は待ちくたびれているだろう。彼が心配するといけないので、電話で遅れることは伝えてあったが不安だった。
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