34:竜の就任式~②~

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34:竜の就任式~②~

 「すごい!あの女の人が真っ黒な大きな飛竜に乗ってるんだ!カッコいい!!」  「あの黒い飛竜でかくない?」  「おぉ!今年は本当に女性騎士がいるぞ!てか凄い美人じゃね!」  「今年は1匹多いんだね。」  「すっげぇ、飛竜初めて見た!!」  「きゃーローエングリン団長、ステキー!」  「赤い飛竜なんて可愛い~~!!」  などなど、セレスティア達が『竜の祭壇』に飛竜に乗ってに登場するや否や、歓声と共に賞賛の嵐であった。先頭にはユージィンがイールに乗って、黒の甲冑に竜の模様の入った赤地のマントをなびかせていた。その後ろには新人竜騎士達も同じように飛竜に跨り黒の甲冑と黒のマントを身に付けていた。  「う~ちょっと気分いいかも・・・」  テオは、観客席からの声援と視線を浴びて、初めは圧倒されそうになったものの、注目されていることに段々と慣れてきた。  「はは、確かにこんなに注目を浴びることなんてないもんな。」  ルッツもそういいながらも自分も気分が高揚しているの感じていた。そしてふと後ろが気になり振り返り後方にいるセレスティアを見た。  「さすがセレスティアだな。」  セレスティアは周りの歓声にも応じることはなく、、無表情に任務をこなすかのごとく淡々としていた。氷の人形のあだ名は伊達じゃないなとルッツは思った。  『竜の祭壇』で、一周した後は、竜騎士の宣誓の言葉を述べる。これはノアベルトが担当していた。そしてその後は、王宮にに向かって順に竜騎士達は飛び立った。その瞬間観客席からは、熱狂した歓声が上がった。  ユージィンを先頭に、新人竜騎士達は並列での飛行であったが、練習の賜物で列は乱れることなく、数十分の距離ではあったが、王宮まで無事到着することができた。そしてここでも王宮付近ではパレードを見ていた見物客が低空飛行になった竜騎士と飛竜を見て、歓声が上がっていた。王宮付近でも竜騎士の人気は凄かったのだ。  その見物客の中に、とあるフードを被った男が竜騎士達をじっと見ていた。  「・・・やっとか。まぁ無理もないか。それに・・・」  フードを被った男の顔はよく見えないが、口角が上がっているのは見て取れた。    到着した竜騎士達も他の騎士たちと合流し、竜騎士・聖騎士・近衛騎士・王宮騎士団は、王宮の広間に通された。そこで、フェリス王国のコルネリウス王からの祝辞の言葉を賜るのだ。     「皆のモノ、まずは騎士就任おめでとう。よくぞ厳しい訓練に耐え、騎士となり得た。これからはこのフェリス王国に仕え、各々の役割を果たすべく、さらに研鑽してくれると、余は今後の皆の活躍に期待しておる。」    王の祝辞はまだ続いていたが、セレスティアはちらりと王族席を見た。やはりフェルディナント王子がいた。セレスティアはできれば捕まりたくはないなと思っていたのだが、この後予想していなかった人物から絡まれることになったのだ。    「あー一仕事終わったな!!」  ノアベルトは大きく伸びをした。    「おいおい、まだ祝賀会が始まったばかりだろ。」   ルッツは呆れたように言った。  「それはメシだろ?もう堅苦しくないし、腹満たせればあとは帰るだけじゃん。」  ノアベルトはあっけらかんとしたモノだったので、ルッツは苦笑いをするしかなかった。  「ほんと、ノアベルトって全然侯爵出とは思えないよね。」  ハインツはノアベルトの貴族らしからぬ素行は嫌いではなかった。  「貴族めんどくさいよー俺次男で良かったってすごく思ってるもん。」  ノアベルトが言うと、  「わかるな、俺も三男で良かったよ。」  「俺も三男だしな・・・」 ルッツやケヴィンも便乗していた。  「ふーん、貴族は長男が大変なんだねー僕は平民の長男だけど、継ぐモノとかないから楽なもんだよ。」  とテオがいうと、  「おい、『叙爵式』があったの忘れてるんじゃないか?テオもハインツもついさっき騎士爵の称号もらっただろ?」  ルッツは驚きを隠せなかった、  「お前ら、貴族になってるんだぞ」  ノアベルトが呆れたように言うと、  「「あっ」」  平民であるハインツとテオであるが、就任式の際には竜騎士の平民は騎士爵を授かることになっており、先ほど『叙爵式』で王から爵位を授かったばかりなのだが、二人はその事を忘れていた。  「あーそうだったね。」  ハインツはバツが悪そうにし、  「まぁ、お給与が上がるのなら何でもいいよ。」 と、テオはさほど貴族になったことを気にしてないようだった。  「なんだよ、それ!」  ノアベルトは大笑いしていたが、ケヴィンとセレスティアは吹き出しそうになるのを実は必死で堪えていた。   セレスティア達は『就任式』や『叙爵式』やらで緊張していた場面から離れたせいか、気持ちも軽くなっており、ノアベルトの軽口を皮切りに盛り上がっていた。  そこへ、招かれざる者から声が掛かったのだ。
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