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 *  展示会が開かれる二日前に、ようやく場所が判明したものの、マモルはどうやってケイに連絡したらいいのか迷った。ICCの中にも関係者がいるとなると、うかつに連絡代行を頼めないし、かといってケイに直接連絡すれば自分の身分がバレる可能性が高まる。  何とか思いついたのは、戦闘訓練をしてくれた芳月だった。  開催地は南部の島だった。周辺にはいくつも島があり、中には個人所有や法人所有の島もあるようだった。 「天野島って島だってことだけ伝えておいて」  マモルがメッセージで伝えると、芳月は「何かの暗号か?」と聞いた。  理由を聞かずに伝言だけ頼むと言ったら、芳月はいいよと答えた。  彼は調子を聞いてきたが、マモルは順調だと答えた。 「その後、誰かを攻撃する機会はあった?」  そう聞かれたので、マモルは考えた。 「逃げる機会はあった。あとタックルは受けたけど、かすり傷で済んだ」  そう伝えると芳月は「良かった、今後も気をつけて」と返してきたので、マモルは気をつけると応じた。  彼に連絡したことで、マモルはあのVRを思い出した。できればあれが必要ないまま終えたいが、隔離された島で何かあったら、そういうわけにいかないんだろうとマモルは息をついた。
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