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波を飛び跳ねるように走る高速船での移動で、マモルは胃が反転しそうになった。海はとてもきれいだったが、それを見る余裕は、出発して十分を過ぎるとなくなっていた。
島に到着してから冷たい水をもらい、船着き場近くの日陰のベンチに寝そべっているとリベルが笑った。
「伊達君の意外な弱さを発見しちゃったなぁ。今回用意された敵キャラリストが来たけど見る余裕ある?」
リベルがタブレット端末を見せ、マモルはその画面を寝そべったまま見た。
リベルが言っていた通り、それぞれの虫にはサイズが書いてあり、点数がそれに応じてついていた。
ICCの仕事と同じく、虫だけではなく、節足動物や危険な両生類、爬虫類も獲物としてリストアップされている。
「この(2)ってのは何?」
マモルが言うと、リベルはタブレットを自分の方に向けた。そしてマモルの足をベンチから払い落として自分が座る。
マモルは仕方なくベンチにだらりと腰掛けた。
「ああ、これは二体あるよってこと。基本的にくじで決めた先着順で、相手を選択していくときに、誰かが一体使っても、もう一体用意してるよってこと。もちろん、一回の対戦で二体を相手にしてもいい。そうなると点数は上がるからね」
「そんな得点アップ方法が」
「そう。小型のをいくつも倒すって方法でもいいし、大型のを一つ倒してもいい。ただし一周するごとに、選択肢は減っていく。十分獲物は用意されてるけど、体力のある初回に得意なもので点を稼ぐ戦士が多いね」
「くじ運も大事ってことか?」
「そう、戦略もね。船酔いで倒れてる場合じゃないよ」
「あんなに揺れるとは思ってなかったんだ」
「大丈夫かなぁ。あと二時間で開幕だけど」
リベルはそう言って、フェリーが着いて、様々な車両が人や物を運んでいくのを見た。
「帰りはフェリーにしようね。ボスが特別に用意してくれた高速ボートだけど」
リベルが言い、マモルはうなずいた。
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