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 *  こうなったらいっそICCに早く来て欲しかった。空から防虫剤でも撒いてくれたら、ちょっとは楽になるんじゃないだろうか。  マモルはそう思いながら、ヘリのプロペラを分断し、そこに乗り込もうとしていた人も分断しているムカデを見た。羽田が後ろで「うへぇ」と気持ち悪そうな声を出す。  ある程度距離は取っているが、ムカデに気づかれたらその無数の足で素早くやってくるに違いない。だから少し高さのある場所から伏せた姿勢で狙う。  無防備になるから、羽田が警戒してくれるのはありがたかった。 「この距離じゃ一発は無理だな。AM49でいくか?」  羽田が言い、マモルも肩からそれを下ろした。 「頭にある角の間を狙え」羽田が言う。 「知ってる。一応上級駆除士なんで」  マモルは腹ばいになって石を支えに長銃を構えた。肋骨がきしむ。 「大型ばっかりに目を取られてると、足元をすくわれるぞ」  羽田が地面にいた通常サイズのアリにスプレーを吹きつけた。 「ここ、テングアリがいるぞ。気をつけろ」  マモルは黙って狙いをつけた。そしてゆっくり引き金を引く。ムカデの頭が吹っ飛ぶ。続けて狙いをつけ、引き金を引く。毒を作り出す腹部も撃っておく。あとは一番最後の尻の部分。ここにも毒針がある。十分ではないが、最小限のことはした。  マモルは立ち上がり、土とアリを払った。 「テングアリ?」 「しかも赤だ」  羽田がスプレーで殺したアリをつまんで見せた。危険指定種だ。 「まだ残ってたんだな。貴重な資料だけど生体を採集する時間はないな」  感慨深げに羽田が言う。殺したアリはポケットに入れていた。 「俺は早く帰りたい」  マモルが言うと、羽田は苦笑いした。
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