2章

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少し時間を巻き戻してロヤリテート家では、 アルと、ロヤリテート家当主ミルフォード・ロヤリテートが向かい合っていった。 アルは、縄で縛れたままで椅子に座らされていた。少し前まで暴れていたが諦めて大人しく座っていた。 2人とも一言もしゃべらずに数分がたった。 我慢比べはアルが負けたようだ。アルは話しかけた。 「いい加減ほどけよ。」 「まず、その言葉つがいを去勢してやろう。愚息が。」 「余計なお世話だ!クソ親父!」 「父上か、父様と呼びなさいと何度言ったらわかるんだ!」 「誰が呼ぶか!!」 「なぜこうも反抗心が強いのか…お前は魔王候補だというのに…」 「俺は、魔王にもならねえ!当主にもならねえよ!」 「黙れ!お前に拒否権なんてものあるわけないだろうが!」 そう言われたアルは、黙ってしまった。 それにしてもまさか親子だったとは、驚きであった。 でも親子なのに攫うなんてマネしてまであるに何の用があるんだろう? 「わざわざ攫ってまで何の用だ。今までほっといてくれたのに。」 「今までは様子を見ていただけだ。お前のお披露目をするためだ。」 「は~?」 「お前が拒否したら彼がどうなってもいいのか?」 「そのために待ってたのか。…あいつを巻き込むな…!!」 「それはお前次第だ。披露は、3日後だ。それまでに準備しておけよ。」 ミルフォードは、部屋から出て行った。アルの、縄をほどくよう指示を出して。 縄を解かれ、一人になったアルは、普段では考えられない、モノに当たるということをしていた。 「くそっ!!」 いらだっているようだ。 「レイ…ごめん。」 次はうなだれている。情緒不安定のようだ。 それから、3日たち、披露当日の朝。 アルは逆らわずきれいに着飾っていた。無表情で立っていた。窓の外を見ながら。 「今までありがとう。レイ。……一緒に旅をしたかった。……でも、本当に…ありがとう。」 そこから、少しの間、泣いていた。泣き終わると同時にミルフォードが入ってきた。 「準備できてるな。もう少ししたら入って来い。後は段取りどうりにしろ。いいな。」 「…ああ。」 そう言ってすぐに出て行った。 お披露目の最大の見せ場は、誓の儀。誓の儀は当主が誓いの言葉を言った後に、お披露目された人が誓の言葉を言う。そうして次期当主が決定する。次期当主になったら行動も縛られてしまうだがメリットもいくつかある。しかし、アルにとってはメリットなどいらないものだったようだ。 「アルフレッド様。お時間です。」 時間が来たようだ。 この披露が終わったらもう自由行動ができなくなる。 それを覚悟したようにゆっくり立ち上がった。 「紹介しよう。我が息子。アルフレッドだ。 では、私、ミルフォード・ロヤリテートが誓う。このアルフレッドに当主を将来譲ると誓う。」 「お、俺は………」 どうしたんだろう? 何があったの? ガヤガヤ 下のほうで何かあったのだろうか。少し騒がしい。 「アルーーー!!!本当にそれでいいのかーー!!無理してんじゃねえよ!」 レイだ。
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