1章

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キングゴブリンはレイとクルスの実力では完敗するほどの実力差がある。 この実力差は通常時。つまり疲労がたまった今ではもっと差が開いている状態なのだ。 つまり、勝つ確率はとてつもないほど低い。逃げ道もない。絶体絶命。 「やるしかない。覚悟を決めよう。」 「うん。」 (レイ・クルスは俺・僕が守る!たとえ命に代えても!) これは、2人の気持ちだ。さすが幼馴染同じこと考えている。 戦いが始まった。 まずはレイが足を切ろうとしていた。しかし皮膚が固い。レイのほうが飛ばされそうになった。 クルスは、お腹に拳をいれようとした。だが、キングゴブリンは持っていた棍棒でクルスをたたいた。クルスは受け身をとったが壁に当たった衝撃で気絶してしまった。 「クルス!」 僕が頑張らなくちゃ。クルスを守らなきゃ! 【力を貸そうか?】 うるさい!今話しかけるな。 集中しなくちゃいけないのに。 行くぞ。クルスを守るんだ! 「やあーーーー!!」 レイは、キングゴブリンに向かって何度も剣を当てた。ただ中てているだけに見える。だが、それもうっとおしいのか棍棒を振り回している。レイはそれをよけている。振り回し方が雑で大振りだからよけられている。だが避けるのもギリギリになっている。疲労がたまっているからだ。疲労がたまっているのは体だけではない。 何回目かの攻撃を当てた時、その時剣が折れた。 そう、剣もたくさん切ってきたのに手入れも何もしていないから耐久も脆くなっていた。 「そ、そんな。」 レイの動きが止まった。 そのことを見逃さずキングゴブリンは、棍棒を振り下ろした。 レイは死を覚悟した。 ごめん。クルスだけでも生き残って。 そう思いながら、目をつむった。 しかし、衝撃は来なかった。 恐る恐る目を開けると・・・ そこには、棍棒が刺さったクルスがいた。 「何で。どうして…」 「何でって、レイは俺が守らなきゃ、だからね。」 「そんな…クルスが生きたほうが未来あるよ!」 「泣かないで…レイ。生きろ…よ。」 「な、泣いてない。」 レイの魔力が暴走し始めた。魔力の渦がレイたちを守るように出来上がっていく。 「僕、5種族が仲良くできる、そう思うんだ。」 「いい…じゃん。レイ…ならで…きるよ。それこそ…レイは…生きなきゃ。頑張って!」 「やだ!クルスも生きなきゃ!頑張ってじゃなくて頑張ろうがいい!!」 「レイ…守れて…満足。」 「満足なんてするなよ!まだ、まだ…クルスと一緒に居たいよ!!」 「レイ…長生き…しろよ。じゃあ…な。」 「クルス?クルス!クルス!!やだ。やだよ!うわあーーーーーん!!!」 魔力の暴走がもっと激しくなった。 レイは、誰よりも魔力を持っているのだ。ただ才能がなかった。 才能は、魔力の色と硬さだ。これは絶対に変わらない。生まれ持った才能。 拳闘士の魔力は、透明で硬い。 魔術師の魔力は、水色で柔らかい。 回復士の魔力は、白でさらさら。 暗殺者の魔力は、黒で柔らかい。 ただ、レイの魔力は透明でさらさら。つまりどれにも当てはまらないのである。 暴走で出た魔力はキングゴブリンに傷をつけていく。小さな傷だが傷1つなかった体のあちこちに傷を作っていく。 【力貸そうか?】
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