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2章
一人旅を始めてから1か月がたった。
レイは、まだ人間族領にいた。だが、もう魔族領との国境近くまで来ていた。
人間族領の隣は、魔族領と獣人族領だ。獣人族より魔族のほうが話しやすいだろうと予想したからだ。だから、あの野原は獣人族領のほうが近いけど魔族のほうに来たのだ。
国境付近にわざわざ行く人はいない。魔族に因縁をつけられる可能性があるからだ。
レイは国境を越えて歩いていた。少ししたところに1人の人影が。魔族だ。
レイは、知らんぷりして、通り過ぎようとしていた。
「危険だぞ。人間。」
「何のことですか?」
いつばれた?でも危険だと教えてくれた?何が危険なのか?
「人間がここにいることが危険だ。」
「なぜ。」
「今は戦争中だ。」
「違う。なぜ人間族だとわかってるのに教えてくれるの?」
普通は襲ってくるだろう?それなのに注意までしてくるなんて。やっぱり学園の教えをうのみにしちゃいけないのか?
「俺はほかの連中とは違う。人間族ってだけ恨みはしない。俺は、上のやつらのほうが嫌いだ。ただ、大半のやつらはそうじゃない。日常生活の恨みや、ストレスの原因を他種族だと決めつけて排除しようとしてる。それが気に食わない。自分たちの問題も他種族のせい。全て他種族のせい。そうすり替えてる上のやつらが嫌いだ。だから、ここに入っちゃった他種族な奴らを見つかる前に帰してやる。」
「そうなんだ。やさしいんだな。」
「どこが?自分勝手だろ。」
「いや、そんなことない。だって見捨てることもできるのに見捨てないんだろ。」
「違う。後味が悪いだけだ。」
「ほら、そういうとこが優しいんだって。」
そんなにいじけなくても。あ、そうだ。
「僕、魔族の生活を知りたい。教えてくれないか?」
この人なら教えてくれそう。
「何で、知りたいんだ?」
「僕の通ってた学園は教えてくれなかった。教えてもらったこともあるけどどこまで本当かわからないから。僕は真実が知りたい。」
これが僕の本音。
「わかった。でも俺も人間のこと知りたい。だから教えて。」
「いいよ。対等交換だね。」
そのほうがいいかな。提案してくれたこと感謝感謝。
「魔族の王は、魔王と呼ばれてる。魔王は血筋じゃなくて実力ってことにってるけど、血筋も選定基準に入ってる。でも直系でも実力がなかったら魔王になれてないからすべてが嘘とは言えない。それと、こっちでは人間は強欲って言われてる。」
へ~そうなんだ。
「人間族の王は帝王と呼ばれているんだ。こっちの王は完全に血筋で選ばられる。身分も生まれで決まる。ただ、戦場で結果を残すとよい待遇がもらえる。人間のほうでの魔族は残酷って言われてる。」
「なるほど。まあ、そういわれるのも納得できる。」
?
「どういうこと?」
「魔族は興味がないことにはとことん興味ないんだ。たとえ、知らない子供が死にそうになってるのを見て何もせずにただ行こうとするんだ。ただメリットがあれば別だけど。だから、残酷といった人は魔族をよく理解してる。」
「何で理解してるといえるの?」
「僕らのことを知らないと“残酷”なんて言えないよ。表面だけ見れば僕らは情がないとか、無感情とか、兵器とか言われると思うんだ。」
へ~そうなんだ。
「だから、僕らのことよく理解してると思うんだ。」
そこから、少しの間2人とも無言だった。
急にレイが立ち上がった。
「どうしたの。」
「僕、町とか見てみたい!」
「何言ってんの!さっきまでの話聞いてた!?」
「僕、自分で見たことのみ信じたい!」
「さっきと矛盾してない!?」
「僕、レイ。よろしく。」
「アッ、俺はアルフレッド。よろし…じゃない!!」
「よろしくしないの?アルフレッド。」
悲しい……せっかくできた魔族の知り合いなのに。
「わかったわかった。は~。よろしくなレイ。長いからアルでいいよ。」
「わかった。アル。」
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