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そして、夏休みのある日。その日も朝から蒸し暑く、田辺くんは午前中に宿題を済ませると、お昼ご飯を食べてすぐ川に遊びに行った。川では、他にも何人かの子どもが来ていて、水切りをしたりして遊んでいた。田辺くんもそこに加わって、いつものように楽しく遊び始めた。
しばらくすると、
「ねえ」
と、誰かに呼ばれた。声のした方を見ると、麦わら帽子を被り、虫取り網を手にした男の子が、川に足だけを浸したまま、田辺くんに笑いかけている。名前は知らないけれど、学校の上級生だと思った。
「なに?」
「こっち来てみなよ、面白いぜ」
そう言って男の子が示したのは、いくつかの大きな岩が水面から顔を出し、川の流れをせき止めている場所だった。
誘われるまま、田辺くんはサンダルを脱いで川の中に入っていく。
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