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「痛いよ」
抗議の言葉を口にしながら男の子の方へ顔を向ける。と、
「うわあっ!」
そこにいた男の子の顔を見て、田辺くんは悲鳴をあげた。
目が、おかしい。
男の子の両目は、人間のそれではなかった。
透明。そう、まるで透明なビー玉が入っているようだったという。
その透明な目に、足下の水の流れが反射して映っていた。
逃げたくて肩を掴む手を振りほどこうとするが、信じられないくらいの力が込められている。恐怖と、長時間遊んでいたことによる疲労もあって、足も上手く動かない。
「大丈夫かーー!」
後ろで、おじさんが駆け寄ってくる気配がする。
「放して、放してよ!」
身をよじる田辺くんの両肩を掴み、男の子は口をニタリと歪めた。
「いいじゃん。楽しいよ、こっちも」
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