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蛙の子は蛙1
「タクマ~僕たち大きくなったら夫婦になろ」
「ふーふ?なにソレ」
「父ちゃんと母ちゃんのこと。夫婦になったらずーっと一緒にいれるんだぞ」
「一緒じゃないこと無いじゃん僕たち」
「もしかしたら一緒じゃ無くなるかもしれないだろ~!だから約束するんだよ」
「ふぅん…いいよ~」
「やった!約束だぞぉ」
「約束~」
20年前俺に結婚を申し込んだ親友、原田良幸(ハラダ ヨシユキ)は明日結婚する。もちろん女性とだ。
今日は仲間内で結婚前祝いと称した飲み会を開いた。幸せそうな良幸を高校時代に仲の良かったヤツらが祝福する様子を、俺はぼんやり見る。明日も早いから、と言って2次会には参加しなかった俺だが、当の良幸に引っ張られて良幸の家で2人で飲んでいる。
「良いのかよ。せっかく天野達が企画してくれた飲みなんだぞ。」
「いぃの~。どーせアイツ等飲みたいだけなんだからさぁ。独身最後の夜は親友とゆっくり語りたいじゃん?」
おら飲め~と陽気に笑う良幸の側で溜め息をつく。
「おいおい!めでたい日に溜め息なんかついてんじゃね~ぞ。俺の結婚を祝えねぇってのかよ~」
内心ドキッとする。まさに図星だったからだ。
オムツを履いていた頃から良幸とはずっと一緒だった。呆れるくらい、いつでもどこでも。初めて出会ったのは1才の時らしいから、かれこれ26年の付き合いになるんだな。気持ち悪いくらい同じ道を歩んできた親友。相棒。そして、初恋の相手。
同じ道を歩みすぎた俺は、いまだに初恋から抜け出せていない。
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