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許してやれ、と鳩は言った。
食う食われるは自然の摂理なのだから、誰もそれに逆らうことはできないのだとも言った。
前世の恐ろしい体験を覚えていて、自分ばかりでなく身内や仲間の無念までをも思いわずらっていたのは、想像もつかない程の不幸ではあるが、夕立に当たったことで、心身の傷は癒されて静まっただろう。
現にしっぽは元に戻っていたと言って、鳩はどこかに飛んでいった。
しかし、それ以降もトラは相変わらず私には懐いていない。
名前を呼んでも、フンと言って向こうに行ってしまうし、体を触ろうとするとシャーと言って怒る。
ただ、以前はトラから発せられていた、憎しみのような感情を感じることはなくなった。それだけで良しとすることにする。
(終)
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