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6.
その時、ギャニャ~ンという声が聞こえた。するとトラが、先程走り去ったところとは全然別のところから飛び出して、前方の道路を横切って行った。
そのすぐ後を、大きな黒猫が追って行く。
ほんの一瞬だったが、トラは泥と傷だらけだったように見えた。さっき私から奪ったしっぽは、ちゃんと持っていただろうか?
ふと見ると、道路の向こうのほうから三毛猫がこちらの様子を窺っている。あっちにはブチ猫もいる。
トラと黒猫が消えた方角から、ギャアア、シャアアという声が聞こえてきたが、ゲコゲコというカエルの合唱が始まって、その声はかき消された。
冷たい風が、びゅうと吹いた。
ゲコゲコゲコゲコ…というカエルの声は、最近では珍しいほど高らかに辺りに鳴り響いている。
二人の男子高校生がここを通りかかった。
「おっ。ここ、猫が集まってる」
「また雨降りそうじゃね?」
二人の高校生は私達のことなど全く気にかけもせず、すたすたと歩いて行ってしまった。
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