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８．
私が家に着いた時、父がトラを探していた。
「トラを庭に出していたら、いなくなっちゃった…」
私はすげなく言った。
「そのうち帰って来るよ」
「あれ、雨降ったの？」
「降った」
ここでは降らなかったかもしれないけれど。
暗くなってからトラは帰ってきた。父にちょっと怒られ、母に餌をもらって食べていた。
帰り道で鳩に教えてもらったところによると、トラは前世で私に食われたらしい。最も、はっきりしたことまでは分からない。
「自分だけでなく、兄弟姉妹や多くの仲間も、いっぺんに食われたということだ」
「そんな…」
鳩は、その時トラはプランクトンか何かで、私はマグロやクジラなどの大きな魚だったのではないかと話した。
「あるいは、ハチとクマ、アリとアリクイだったという可能性もある。または…」
当然だが、私には前世の記憶なんかない。トラと兄弟姉妹と仲間を一度に食ったと言われたって困る。
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