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 鳩は、難しい顔をして話し出した。 「猫にも少しは妖力がある。あの猫は、そなたに尾を踏まれたあの瞬間、体の一部だけかもしれんが、トカゲになったようじゃ」 「トカゲに?」 「うむ。踏まれた尾を体から切り離してでも、そなたから逃げなければならぬ。あの猫は強くそう思ったのだろう。そして、その強い思いが、それを可能にした」 「どうしてそこまで…」  私は恨めし気に枝の上の鳩を見上げた。  確かにトラは、私に懐いていなかった。たまに本気で憎まれているような気さえしている。  一緒に住んでいる父と母には懐いている。  それに、この近くに住んでいる姉や、姉の子供である姪と甥と、姉の夫である義兄もたまに遊びに来るのだが、たまにしか来ない姉の家族にだって頭を撫でさせるのに、私には絶対に撫でさせない。
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