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「嫌われる理由に関して、思い当たることは?」
鳩が尋ねてきたので、私はないと答えた。
私はトラに意地悪をしたことなんかない。トラがもらわれてきた時から優しく接していたし、餌やりやトイレの掃除は、私が一番負担している。
その時、空からゴロゴロという音が聞こえてきた。雷である。
「なんと、これから雨が…、夕立が降るのか…」
鳩は遠くにある雲をじっと見た。
「天があの猫のことを不憫に思うて、助けを出したのやもしれぬ」
「え?」
「だが、弱くて小さな雲だ。こちらから行かねば、夕立に出会うことはできぬだろう」
鳩は私を見て言った。
「そなたは、あの猫を救ってやりたいか?」
「そりゃあ、できることならそうしたいです。しっぽを踏んで取ったのは私だし…」
憎たらしい猫だが、しっぽが取れたのは一大事だ。
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