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僕の身体はからっぽだ 僕の中の大事なものがどこかに行ってしまったから 足跡を辿った ようやく見つけた 冷たくて、砂漠のような場所に、ポツンと寂しそうに座り込んでいる そんな所にいたら危ないよ。 僕のそんな声は届かない そこはもう君のいる場所じゃない。戻っておいで。 その子は首を横に振った こっちにいれば、もう君がそんな悲しい顔をする事もないんだよ。 その子はようやく僕に答えた 嫌だ。ここにいたら綺麗な花が満開に咲くかもしれないから。 僕は叫んだ そんなわけないだろ。もうそこにいたって花なんて咲かない。戻ってこい。 わかってるよそんなこと。ちゃんとわかってるんだよ。 その子は、泣いた 壊れてしまいそうに泣いた 僕も泣いた 崩れ落ちて泣いた その子の涙は僕の涙だから 僕は言った わかったよ。そこに居ていいよ。気の済むまで居ていいよ。でも、戻りたくなったら戻っておいで。君が帰る場所はちゃんとあるから。 少し物足りないかもしれないけど、あったかくて、君を絶対一人にしない。そんな場所を僕が作っておくから。 その子は寂しそうに笑ってうなずいた 僕はその子に名前をつけた
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