day last memory 後編

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部屋に差し込む月明り。 僕はその下で時計を眺めた。 手に握り締めた懐中時計。 その針が動くまで月の下で思い出を振り返った。 千春の笑顔。 千春の切ない顔。 千春の涙。 千春の温もり。 一緒に感じた風。 僕らを照り付ける夏。 色と共に切なさを感じさせる秋。 輝いた海。 静かに見守る夕日。 全てが思い出になる。 一瞬一瞬がかけがえのない時間だった。 最後まで僕は放さない。 この大切な記憶を。想いを。 月が雲に隠れる。 部屋が暗闇になる。 それでも僕はその場に居続ける。 もう一度月が僕を照らすまで。 僕はもう片方の手に小さな箱を乗せた。 白いケースに入った宝物だ。 それがもう一度月の明かりに照らされた時、懐中時計の針は十二を指した。
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