prologue 終わりのプレゼント

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何分でもない。 でも僕らは一緒にいる理由がない。 学校も違えば年齢的に幼馴染だからと長話をする頃でもなくなってきた。 家に寄ることなどめったにないし、最近は会うことも久しかった。 今日ももうそろそろ時間なのだろう。 都築が口を閉める時がその合図だ。 だから僕も潔く口を閉じる。 「じゃあ、また頑張って」 僕は都築を見て微笑んだ。 いつからか僕の方が大きくなり都築を見下ろすようになった。 それからだろう。 女の子なんだと思い始めたのは。 「もちろん。ふーちゃんも頑張ってね!」 そう言って笑顔と共に手を出す。 最近、都築は別れ際に手を出すことが多い。 今ではハイタッチをする意味だと分かっているが最初は戸惑っていた。 「おう」 僕らはハイタッチをして笑った。 夏の暑さに負けないくらい満面の笑みで。 その時の熱さを残したまま僕らは背を向け、反対の方向に歩いた。
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